2015/11/10 (Tue) 公共施設を「アート」に ダム、下水処理場…、写真で造形美発信 西宮市 Category 未選択

ダムの内部や下水処理場など、一般に公開されていない公共施設を“芸術的”な写真で紹介する試みに、兵庫県西宮市が本年度から取り組んでいる。フェイスブックで順次公開し、時代とともに歩んできた建築物の新たな魅力を発信。普段見慣れない無機質な造形美は、複雑な構造を愛（め）でる写真愛好家らを中心に人気を集めている。
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　同市は６月から、ごみ焼却施設や市役所の電気機械室などで撮影を開始。「縁の下で生活を支える公共施設を知ってほしい」と、フェイスブックのアカウント名は「無名の彫刻」とした。

　写真の撮影などは、関西の建築士や京都造形芸術大（京都市）の学生らと協力。陰影を生かした芸術的な写真に仕上げて公開し、これまでに３００件近い「いいね！」を集めている。

　先月２０日には、学生ら１３人が普段は入れない丸山ダム（西宮市山口町下山口）の内部や、現在は稼働していない浄水施設「鯨池浄水場」（同市上大市５）など３施設で特別に撮影。教会のような荘厳な雰囲気を残す地下通路や、イタリアの「青の洞窟」を思わせる配水池、地中から無数に延びる配水管などを思い思いに切り取った。
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　参加した同大４年の男子学生（２２）は「どれも年代を感じさせるものばかりでワクワクする。僕らの日常がこんなアートに満ちた施設で満たされていると思うと楽しくなる」とカメラを手に興奮気味だった。

　現代美術家の椿昇・同大教授（６２）＝同市在住＝は「ドイツやイギリスなど海外では、使われなくなった公共施設にアートで付加価値を付けて観光施設化している」と指摘。その上で「人口減少社会を迎える中、大型の公共施設はもはや近代産業遺産。日本でももっとアートを活用していくきっかけになれば」と話している。